2020
変容する海
2020
変容する海
アーティスト・ステートメント
変容する海
鉛筆による素描連作「変容する海」は、島の暮らしで網膜に残った残像、思い描いた心象を表現したものである。紙に浮き上がってくる情景と詩は、私と世界本来の力とつながった自動筆記からできたもののようである。
波の満ち引きに、身体が揺さぶられ、私は人間らしくなる
洞窟は内部がむきだしになり、外へと吹き出し
マントルが動き出し、プレートが表裏逆転する
マリアナ海溝は、エベレスト山をいとも簡単に飲み込み
島に住んだ私の肌はどんどんと黒くなり、心のコントラストが明白になる
震源のかたまりは人間の五感で知ることができるのだろうか
福島第一原子力発電所事故後、私は海洋汚染を心配して、福島の海を表現した。あれから10年もの月日が経ち、海は計測不可能な波の数によって目に捉えられないものへと変容し、今暮らすグアム島の海へも、混じり消えているのであろう。海が私たちを守っているのは確かだ。その大きな抱擁に感謝して、私はこのまま描き続けく。
古川弓子
概要
2019年8月に東京を離れて、グアム島に古川は移り住んだ。太平洋の波、岩盤、深海、地層、マントル、地震の震源地の動きを想像しながら、鉛筆画を描き続けている。
白黒、明暗、表裏、心理的な光と闇を捉えながら、画用紙に向かい合っている。現実には誰にもみえないが、鉛筆画を描く彼女は、地球本来の大きな力に触れたような感覚になり、その感覚を詩にして書きとめる。
福島からグアムへとつながっていく海洋世界は、彼女にとって重要な制作課題である。
変容する海
紙に鉛筆|31x23 cm
毒
紙に鉛筆|31x23 cm
宇宙になる
紙に鉛筆|31x23 cm
裏返しに何かが
紙に鉛筆|31x23 cm
外へ
紙に鉛筆|31x23 cm
海中
紙に鉛筆|31x23 cm
洞窟が裏返し
紙に鉛筆|31x23 cm
あなたの眼から、あなたの心から
紙に鉛筆|31x23 cm
宇宙がでてくる(洞窟が裏返しになると)
紙に鉛筆|31x23 cm
月がでてくる(カミングアウト)
紙に鉛筆|31x23 cm
月の本音
紙に鉛筆|40.3x8 cm
溶ける
紙に鉛筆|41x31 cm
洞窟ではなく、あなたのこころである
紙に鉛筆|55x61 cm
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